蕪菜(野沢菜)

   

 「野沢温泉村」の民宿で食べた「野沢菜」を忘れられません。
 スキーから帰ってきて近くの公衆浴場で汗を流してくると
 部屋のこたつの上にはドンブリに大盛りの「野沢菜」。
 「おばちゃんビール」と幾度も台所を往復したものです。
 その後、その民宿で数年間アルバイトをした折に、
 毎食毎に地下の大きな「漬物樽」から「野沢菜」を取り出す時の
 その冷たさに驚いて、あの旨さはこの冷たさなんだと思ったものです。
 その後いろんな観光地で袋詰めの「野沢菜」を買う機会がありますが、
 「野沢温泉」民宿の「野沢菜漬け」を越えるものには出会っていません。

 さて、ここ魚沼にはその「野沢菜」と同じ種類の「蕪菜」があります。
 結局は「蕪菜」が「野沢」で作られて「野沢菜」になったわけで、
 全く同じ種類のものと知りました。
 「蕪菜」は連作障害が出やすくて、天候にも左右されます。
 この数年は豊作、不作が交互に連続して消費者は大変です。
 特にこの地でも「蕪菜」を材料に加工品を作っているメーカーが
 数社ありますので、不作の時の八百屋での店頭には数が並びません。
 店の人の話では若者の「漬物」離れで「蕪菜漬け」を作る家が、
 少なくなったとはいえ、やはり冬の漬物は「蕪菜漬け」ということで
 店頭に「蕪菜」の束が並ぶのが大根の束と同じで風物詩となっています。

 「蕪菜」は当座漬けとして、刻んでから鷹の爪、昆布などと3日間ほど
 漬け込んだものを多少青臭さも感じながら食べるのも初冬の楽しみです。
 保存用の漬物は熱湯をサッとかけたものを塩をまぶしながら
 大きなタルに幾重にも重ねあげて重い漬物石にて1週間ほど、
 予備漬けをしてから水があがってしんなりした菜を良く洗って
 本漬けにはいります。
 本漬け用には各家の味付けがあって、塩のみ、味噌を加える、
 煮干しだしの醤油味とか各家、各様で出来上がりの品評会が
 楽しくて、年寄りは各自の物を持ち寄って「お茶のみ会」を
 するのだそうです。

 「蕪菜漬け」は春先になると発酵がすすんで酸味がでます。
 まあ、「高菜漬け」などのようにわざと発酵させる漬物もあるように
 酸味の出た「蕪菜漬け」を煮たのが「煮菜」になります。
 打ち豆と一緒に煮込んだものがなんともいえません。
 発酵ででた乳酸が健康にいいのだとか、
 キムチの発酵しかかったのを材料にした本場韓国の「キムチチゲ」と同じでしょう。