野鴨


   

 本物の野鴨を食べたのは数年前、近所に住む猟師が獲ってきたものだ、
 すでに解体してあったものを使って「鴨鍋」を作ってくれた。
 水を一切使わずに白菜の水分だけで濃厚なスープが出来上がったのが不思議、
 プロが解体したから内蔵も綺麗に処理してあって「心臓」と「肝臓」は   
 焼いてたべさせてもらった。

 冬場の鴨は脂が乗っていてそのジューシーな旨みは野菜にすべて吸われる、
 胡椒と醤油だけで味付けされているのに野菜の甘味と野生の獣肉、
 骨にこびり付いた肉片でさえも手掴みで脂ギトギトにしながら食べた
 
 その後、何度か猟銃で仕留めた「野鴨」をそのままもらって羽毛をむしったり
 肉の解体をやる機会に恵まれたが、魚とは違いけっこう苦労した。
 肉の部位毎に分け、内臓も良く洗ってバットに並べると美しく、
 胸肉を使ってソテーを作ってからオレンジソースを加えたら
 それなりにフランス料理のような気分になるから不思議である。、
 
 野獣の肉は獲ってからすぐには解体せずに雪の中に埋めておいて
 ある程度熟成してから食べたほうが美味いと聴いた。
 その後、その猟師は狩猟免許を返上し「野鴨」は諦めたが
 ひょんなことで友人の父親が現役のハンターが鴨や雉を仕留めている話を聞いて
 懇願したら何度か頂いて再びの「野鴨」に出会えた。