太宰治と坂口安吾そして壇一雄

ようやく「オール読物」と「問題小説」の読むペースが
出版ペースに追いついて他の本を読む余裕ができたので図書館に出かけた。
ニュース番組以外のTV番組を観なくなってからもう10年以上が経ち
読書時間はたっぷりあるのだが、パソコンに向かっている時間も長いから
購読誌(文集も含む)以外の本に手を出すのは久しい。
図書館で借りた「壇一雄」が書いた『太宰と安吾』を読んだ。
一部が「太宰治」二部が「坂口安吾」と分けているが随所に作者を含めた3人が
交錯している様が書かれている。
壇よりも太宰が3年年上、さらに安吾が3年年上という年齢差だが
同時代に生きた「無頼派」と云われた3人を中心にした文芸界の事が
赤裸々に書き綴られたものを再度編集した本である。
内容的にはだいぶ同じ話が出てくるのだがあまり気にならずに一気に読んだ。
特に壇が太宰の妻女から熱海で遊蕩する太宰にお金を届けに行って
「ミイラ取りがミイラ」になってしまい自らも遊蕩の同行者となってあげくに
太宰が再度の借金の為に「菊池寛」のところに上京したまま帰らずに
壇が人質になっていたが「つけ馬」と再び東京に戻ったら太宰が「井伏鱒二」の
家で飲んでいたくだりはあまりの「破滅型」の生き方に驚く。
太宰の生誕100年が昨年で青森の「斜陽館」にはだいぶ観光客が訪れたらしいが
さらに3年年長の安吾に関してはその年ではあまり話を聞かなかったような気がする。
太宰は短編が教科書に載っていたり「入水自殺」の話が有名な為に知名度が高いのか?
安吾は新潟市に生まれており父親が政治家だったあたりが
なぜか「野坂昭如」を思い出してしまう。(野坂の父は新潟県副知事)
小生は「吹雪物語」は文庫本を買って読んだが「堕落論」や「桜の森の満開の下」は
読んだ記憶がない。
壇一雄も「リツ子・・・」や「火宅の人」よりも「壇流クッキング」が馴染み深い。
彼の子息が芸能人としてマスコミ等で活躍しているのも(壇太郎、壇フミ)
彼の残した遺産といえようか。
石川啄木、宮沢賢治を始めとしてなぜか東北出身の作家は清貧(?)というよりは
物欲に対して無関心だったような気がする。
ただより良い作品を仕上げるために苦悩し親戚・知人に迷惑をかける事すら気にならず
自分自身の芸術性の為のみに愚直に生きぬいたのだろう。
他方「無頼派」と云われる彼等は一般人の価値観や人生観とは異質な生き様を貫き
浴びるように酒を飲み、麻薬や薬への依存もいとわず、娼家に居続ける怠惰な生活、
友人、知人への借金、自由奔放な女性関係・・・
現在であったらさぞや「芸能誌」が喜び、「TVレポター」が活躍するだろう。
作品からは決して見通すことができない作家達の赤裸々な姿に改めて驚いた。