紅葉の火打山へ

2008年の10月初旬に出会った「火打山」での紅葉が忘れられなかった。
当時は特に意識した時期の選定ではなかったが、
すでに「体育の日」が10月10日ではなく、休日扱いで
なくなってしまったから逆にその前後を選んだような気がする。
赤倉温泉に前泊して翌朝の始発バスで笹ヶ峰牧場まで移動してから
「火打山」を登った後に「黒沢池ヒュッテ」に泊まり、翌日は
「妙高山」を踏んで「燕温泉」に降りて汗を流して帰るという大名登山だった。
今回は未明に魚沼を出発して笹ヶ峰から「火打山」を日帰りピストンする
駆け足の「紅葉見物登山」である。
平日なので何時ものメンバーは参加できず、急遽「Y画伯」が
同行することになった。
天候は最初の台風が北上して去ったあとに次の台風が来る前の狭間に
できた1日だけの晴れ間を狙って、前週の情報をネットで得てからの
計画を立てたのであるが、
今年、最高の紅葉が見られるピン・ポイント日程と自負していた。
魚沼から小千谷、小国、柏崎を経由して高速にて妙高高原へ走り
さらに笹ヶ峰までジグザグの道路を標高を上げながらマイカーを運転する。
登山口前の駐車場にはまだ余裕がある状態だったが続々と埋まってくる、
さすがに紅葉シーズンである。
笹ヶ峰はまだガスが濃く、歩き始めた頃も森林帯は霧の中である。
以前に登った時に比べるとずいぶんと木道が整備されてあって、
あっという間に「黒沢橋」に到着する。
ここから十二曲がりを経由して急登が続くのだが
このところ毎週のように歩いているせいもあり体が軽い。
一度も休憩することなく「妙高山」への分岐まで歩いてしまった。
涼しさもあったのだろうか汗はさほどかいていない。

<<木陰から見えた北アルプス?>>

給水休憩をした後は大きな石がゴロゴロする登山道をダラダラと歩いて
やがて水平歩行になり始めると右手に開けた紅葉が見事な斜面が現れる。
そろそろ「高谷池ヒュッテ」が近くなった感じていたら
ガスがとれ始めた中に三角屋根のヒュッテが忽然と姿を現した。
数名の登山者がテーブルで食事の準備を始めていたり
数張りのテントが張ってある幕場でも朝の行動が始まっていた。
ガスが晴れ始めた「高谷池」の周りで数枚の写真を撮った後に
逸る気持ちを抑えつつ「天狗ノ庭」へ足を進めた。

最盛期ではカメラを構えた人たちで渋滞するあたりであるが
若い作業員が数名、木道を補修しているだけで人影はあまりない。
我等はそこで何度と無くシャッターを切り、立ち止まってまたカメラを構える。
やがて「火打山」や「焼山」の姿が明確に現れてきたのでさらにシャッターを・・・

それでも山頂は早めに踏もうと先を急いで「雷鳥平」を越え
最後の風化が激しい火山礫が敷き詰められた急登を登り終えると
かなり広い山頂部に飛び出した。
ザックを降ろしてウィンドヤッケを着込んでいる頃に遅れていた「Y画伯」が
到着して昼食を摂ることにした。
今回は「撮影登山」ということで1眼レフとコパクト・デジタルの2台
持ってきたし、気温が低いことを考慮して水も1.5Lのみの軽装備。
コンビニで買ったお握り1ケをテルモスのお茶で流し込んでリンゴを齧る。
山頂から時折姿を見せる「焼山」や日本海側に連なる頚城の山並みを
何枚か写した後に「黒沢池」まで足を延ばすことにして早々に下降。
「高谷池ヒュッテ」の手前で「黒沢池」方面へ登り返して尾根歩きとなる。
暑くも寒くもない最高の縦走路、時折日本海からの風が頬を撫でる、
尾根道は「黒沢池」の湿原手前で突然開けて目の前に「妙高山」の姿と
紅葉に染まった「黒沢池ヒュッテ」の独特の屋根が足元に見えてくる。
「黒沢池ヒュッテ」からは右手に笹ヶ峰に至る登山道のトレースが走り
クマ笹と広葉樹の見事なコントラストが展開されている。



まさに「桃源郷」のような風景が心臓を鷲掴みにして離さない。
名残惜しいが緩い斜面を下って「黒沢池ヒュッテ」の前に設置された
テーブルでしばしの給水休憩、小屋の入り口には「本日のチェックインは3時から」との張り紙を見て「食料の調達か草刈りかな・・・」と話題に。
さてここまで来ると帰りの時間が気になってくる。
たおやかな湿原の横を歩きながら夏の風景を思い浮かべて
また訪れる機会があることを願う。
湿原からはもう一度森林帯に登り直して「火打山」との分岐点に向かう
途中で「黒沢池ヒュッテ」の管理人と出会い、しばしの歓談、
また何組かのグループとクロスして下降ペースは上がるも
あまりに整備された木道の歩行はその堅さゆえに下りでは
かなり足への負担がきつくて憂鬱になる。
目標の時間ギリギリに駐車場に着いて笹ヶ峰を後にする。