青森の名物としては「ねぶた祭り」があまりにも有名だが
弘前の「ねぷたまつり」も劣らずに有名である。
そんな「はねっこ」達が昨日は「よさこい踊り」で
踊っていたのだろうか、一年の中で一番熱くなれる日の為に
練習して踊るのは「リオのカーニバル」と同じ?
他方、食べ物では名物の「みそ貝やき」なるものを初めて頂いた、
大きな帆立貝の殻の中に味噌を少々、だし汁と豆腐や野菜など
を入れて小さなコンロで焼きながら生卵を加えて
焦げないように掻き回して半熟の状態で熱々ご飯に
かけて食べるのが地元では定番だという。
そうそう、ニンニクも有名で、焼肉のお店では若者が
丸ごと焼いて食べていたが、青森のニンニクは高価なのに
豪快な食べ方だと感心する。
さて「弘前」からは一度「新青森」に戻って「盛岡」まで
再び「はやて」に乗って移動した。
「盛岡」からもレンタカーを借りて東八幡平に住む姉夫婦を
訪問してから今宵の宿泊場所である「籐七温泉」へと向かう予定である。
さすがに岩手県の県庁所在地であって駅前や郊外も大型店舗が多いが
我らの目的はあくまでも「陸奥の温泉」なわけで車はすぐに高速に乗って
「岩手山」の麓をぐるりと回って「松尾八幡平」まで走った。
まだ夏休み前なので「東八幡平」の別荘地帯はひっそりとしているし
バブル以降はペンションや企業の保養施設は撤退、閉鎖したものも多い。
他方、所謂富裕層は新たな別荘を作っている様子で
二極化する日本国民のヒエラルキーに驚くばかりである。

玄関先の白いバラ

主はこよなく薔薇を愛している
姉夫婦の家は日本100名水のひとつである「金沢清水」の湧水地からほど近く
主はバラの花をこよなく愛する庭師でもあり、絵画・音楽に造詣の深い
ちょっと変わった老齢の医師でもあるが、戦後間もない頃に
北アルプスを歩き回った経歴を持つ敬愛する師匠でもある。
果たして玄関先には白い蔓性の薔薇が満開で甘い香りを
一帯に漂わせており庭には10種以上の薔薇が咲き乱れていた。
お土産を渡し、互いの近況を報告しあい、来年の旅行の約束を交わした後
そそくさとアスピーデラインを標高を上げながら「八幡平山頂」に向かう。
今朝は盛岡市内の気温が9度ほどで車もエアコンの温度を暖房に設定するほどで、
8合目付近の道路脇にはまだ残雪が残っているわけだから
緯度が高いのと標高が高いのと相乗効果で季節は2ケ月戻った
陸奥の山頂付近である。
20年ほど前に旧い山友が八戸で長期赴任をしている頃であった、
八幡平山頂の駐車場で待ち合わせをして旧交を温めたことがあったのだが、
その時に泊まったのが今は廃墟になった「籐七温泉・蓬莱荘」だったと記憶している。
そこで体験した荒削りの露天風呂の思い出が懐かしい。
今回の「藤七温泉・彩雲荘」を選んだのもそのながれでもある。
廃墟といえばアスピーデラインの中腹、松尾鉱山跡にほど近くにあった
「御在所温泉」(たぶんホテル内の温泉で今は建物すら無い)と
「八幡平スキー場」は跡形もなく無くなっていた。
スキー客が減りバブルが弾けリゾート開発はあえなく沈没といったところか
まだシールを付けて残雪の山を彷徨っていた現役のころの晩春、
八幡平スキー場まで義兄に送ってもらってシールと一応の山道具を背負って
リフトの終点から歩き始め、途中にある茶臼小屋で休憩、
黒谷地の広い雪原をひたすらに山頂を目指して歩き
山頂から秋田側の「後生掛温泉」まで滑り降りる予定だった。
天候もよく山頂付近までは赤い布が木の枝に結ばれていたのだが
秋田側はマーキングは皆無、一応市販のルート図集には案内していたので
2万5千分の地図だけをたよりに下り始めて
沢をひとつ間違えて下り大きくルートを外れてしまったが
遠くに聞こえる除雪車のエンジン音に助けられてトラバースを繰り返し
無事に「後生掛温泉」にたどり着いた思い出も今は懐かしい。

宿の道路脇に咲く花たち

宿の道路脇に咲く花たち
さて今は1軒しかない「藤七温泉」(彩雲荘)は標高1400mにある
孤高の温泉であるが道路脇でもあり訪問者は多い。
真夏のハイシーズンは予約はおそらく無理だろうが、今は閑散期らしく
2人なのにかなり広い部屋に案内された。
窓際は携帯のアンテナは運よく窓際で三本立ったが、一般的には携帯も通じず
テレビも映らない事が売り文句で登山家・御用達の温泉宿かもしれない・・・
温泉は内風呂、宿泊客専用露天風呂、完全混浴の露天が4つほど
館の周りに点在していて実に多くの湯船がある野趣溢れる温泉である。
夕食も朝食も山菜中心の食べきれないほどの種類が用意されたバイキング方式、
なかでも山菜の種類とその料理にコメント付きの案内が嬉しい。
食べたもの全てが大満足で、強いてあげるならば「きりたんぽ鍋」の
鳥から取ったスープが抜群、硫黄で真っ黒になった温泉卵もなかなか、
あげればきりがないが日本酒の熱燗4本はみるみるうちに空に・・・

宿泊者専用の露天風呂

点在する露天、お尻の下からブクブク湯が沸いてくる
翌朝の朝食後、出発ぎりぎりまで温泉を堪能して
体はすっかり硫化水素ガスの香りが染みついてしまい、
恐らく着ているものまで移り香があるだろうから
しばらくは何処に行ってきたのか内緒にするのは不可能と思われる。
時間と懐が温かければまだまだ訪問したい温泉と山があるのだが
渡世はそう簡単にはゆかないのが残念。
お昼を盛岡駅で食べて再び「はやて」に乗り込んだら
頭の中が下世話な事で溢れてきた。