当初は「劔岳・早月」尾根を予定し、
次に「常念岳から燕岳」の縦走に変更、
最後は「高妻山」になってしまった。
いずれも時間的な問題や天候に左右されることが多く
なかなか計画どおりに物事はすすまないものだとつくづく実感。
小生にとって「高妻山」は長い間、他の山から眺めるだけで今まで
登る機会がなかったから良い機会を得たということで、
同行する小千谷のH川氏と1W前から何度もメールで打ち合わせて
目標の山を探りながらの天候次第で決定・出発することにした。
4:30に拙宅の前まで彼が迎えにくるという恵まれた計画、
未明まで何度も雨が屋根を叩く度にネットの天気予報を確認するが
金曜日から信州は晴れ間が出ているようだし、
魚沼の天気は気にしないことにして
肌寒い霧が漂っている薄暗い魚沼の里をスタートした。
彼とはY画伯を介して何度か色んな山にご一緒したが
二人だけで出かけるのは初めててある。
「飯山インター」から1区間だけ高速を利用して戸隠キャンプ場まで走ると
すでに「高妻山・戸隠山」の駐車場はほぼ満車状態。
7:30というのは登山開始時間としては遅いのだろうか、
夜半に出て車で仮眠という過酷な環境下での登山は年齢的にも厳しく
今後の山行計画でも大いに検討せねばならないアプローチ方法だ。

GPSロガー
牧場を横切って直径30cmはあろうかと思われる「牛の落とし物」を
踏まないように気をつけながら登山口に到着、
この時期にしては水量の多い川を最初から渡渉して
沢筋に付けられた歩きつらい石がゴロゴロした道を歩く。
(沢の真ん中を歩いている状況でもあるが)
やがて滝の右側に付けられたクサリ場を通過し、
滝の上にある岩場をトラバースすると沢の源頭が近い、
有名な清水が引いてある水場を過ぎると
源頭らしく水の流れは無くなってすぐに尾根に飛び出した。

H川氏滝を登り終える

一不動避難小屋
ここからは「戸隠山」方面と「高妻山」方面に行くコースが分岐、
「平ケ岳のダイクラ尾根」を歩いているようだねと話しながら
オヤマリンドウが咲き乱れる尾根を「五地蔵山」まで水平歩行、
そこからは下降に使う「弥勒コース」と山頂に向かうコースに分岐する。
この山は山の合目とは少し違うのだが山頂直下まで1~10まで
それぞれ異なる祠が祭られて少なくとも10の神々が
登山者を見守ってくれている。

尾根道は花の街道

リンドウが咲き乱れる

こんな花も

開いたリンドウは久しぶりに見た
3つほどのピークを越える頃にガスが晴れて
急斜面に出来た登山道を正面に「高妻山」が姿を現した。
「胸突き八丁」と云われる最後の急斜面を登り始めると
自分としては得意の岩場登りのペースが落ち始めて足に力が入らない。
朝食も食べたし途中で糖分補給も適宜にしてきたつもりだし、
暑くはないから水分補給も十分ななずなのにおかしい・・・
急斜面を終えて山頂が見えて大きな岩の上を歩くあたりでは
足元がフラフラして山頂に到着した時は思わず座りこんだ。
(これはひょっとしたらシャリバテ?)

見た目はキツそうにはないですが

山頂は標柱が1本有るだけ

戸隠も姿を見せ始めた
しばし放心状態で呼吸を整えてから
H川氏が用意してくれたGASで湯を沸かしてカップ麺で
無理やりお握りを1個流し込んだ。
果物を食べる気力もないという事はやはりおかしい、
軽い過労状態が続いているのだろうか。
帰宅時間を考えたら山頂での休憩時間はこれ以上消費できないと
30分ほどの大休止の後に山頂を後にした。
心配された急斜面の下降は1、2ケ所を後ろ向きで3点確保で
降りた以外はなんとか無事に通過して下降コース入口の分岐まで
疲れた体をだましだまし登下降を繰り返したが
途中で根曲り竹の根っこが露出したところでスリップ転倒、
この時点では単なる足場のミスかなと思っていた。
「弥勒コース」の入口には「2時間半の急斜面」と案内が出ている、
その時間だと予定していた「道の駅」での果物購入ができない。
さて登山道はまだ開発されたばかりのコースなのだろうか
雨に濡れた踏み跡は滑りやすい黒い腐葉土である。
グイグイと高度を下げてゆくのは好ましいが
疲労困憊の体には負担が大きくて、下降になって使い始めた
ダブル・ストックに頼った歩き方に問題があるのか
3回ほどスリップして尻餅をついてしまった。
所々に現れる平坦部は歩きやすい柔らかな土壌の道で
それなりに安堵しているのだがすぐにまた急斜面が始まる。
大きなブナ林から若いブナに植生が変わるころに
川の水音が聞こえ始めて牧場が近いことを感じた。
木々の間から牧草地が見え始めて漸く山道は終わりになった。
貴重な晴れ間が出たこの週末を楽しむ観光客やキャンパーが
戯れる牧場内の砂利道&舗装道路をトボトボと歩いて
車のところに着いた時に急に緊張感が緩んでザックを下した。
ウーン、厳しい山だったな、そろそろ体力の限界かな