陸奥だけが晴天の予報が出ていたので
ツアーの提案者であるS太郎氏から出発の決定電話があったのが
出発前夜だったので翌日は食料の買い出しをして出発の深夜まで
普段は決して観ないTVなどを見ながら過ごす。
土曜日の零時になれば高速料金が安くなるから遠出の山旅には
鉄則だとS太郎氏の山登りスタイル。
中型ザックと天幕生活用のトートバック、着替えが入ったズタ袋を
トランクに放り込んで小出インターから高速を利用して魚沼を出発、
最近の陸奥旅はずーっとそのスタイルである日本海側を北上。
県境を越え温海温泉から再び東北縦断の細切れ高速を走って
秋田県に入る頃に夜が明けてきた。
途中で1,2回運転を交代したけれどもほとんど寝ていない。
田沢湖付近に近づくと「秋田駒ケ岳」の姿が目視でき、
8合目の登山口まで利用するバスの停留所がある温泉施設に
併設する大規模の駐車場まで始発のバスに乗るべく急いだ。
6:31のバス時間まで30分ほどあったので装備を整え
そそくさと朝食をほおばった。
10分ほど前から登山客がバス停のポール前に並びだすが
人数は10人前後でさほどの混雑ではない。
気温も気にするほど低くもなく今の時期にしたら高いほうか、
山頂付近までよく見えるが紅葉は期待したほどでもない。

朝陽が当りはじめた秋田駒ケ岳
バスは細い急勾配の悪路を高度を上げてグイグイと登ってゆく、
この1、2年の間に伐採したと思われる途中の林が丸裸になっていて
視界はすこぶる良いのだがなんだかもの哀しい。
8合目の駐車場には規制前に登ってきた車が数台停まっていて
歩き始めた人たちの後ろ姿が遠くに見えた。
S太郎氏と小生は準備運動もすることもなくすぐ歩き始めるが
緩い道なので丁度良いアイドリングである。

火山であること再確認できた風景

まあ、何とか紅葉が見られた

田沢湖が見える
車の中では生アクビを連発していたのに歩き始めるとピタリと止まり
歩行そのものも順調に進んで阿弥陀池に到着した。
この池を囲んで「男岳」や「横岳」「男女岳」が林立するが先を急ぐので
最高峰である「男女岳」をピストンしただけで「横岳」経由で「焼森」
から「湯森山」へのなだらかな縦走路へと歩み始めた。

阿弥陀池から見た男女岳

池の畔には立派な避難小屋

なんと太陽光発電

小屋には火山だからヘルメットが用意されている

これから歩くたおやかな縦走路
東北・越後の山によく見られるゆったりとした尾根が連なる風景は
実に壮大で長い縦走路も快く歩くことができる。
多少は道端の草や灌木が気になる部分があるものの笹原だけは
刈払いをした痕跡が残っている。
「湯森山」から「笊森山」までの間には湿原が広がっていて花の季節には
色んな花が咲いているのだろうと想像を膨らませる。
歩き始めて3時間ほど経過したところで睡眠不足と思わぬ高温で
歩行スピードがガクンと落ちてしまった。
体感では20℃を越えているような気温のなか歩いていると
汗が噴き出してくるしすでにシャツはぐっしょり濡れてしまった。

阿弥陀池と男女岳

岩手山が見える

長い縦走路

なだらかな道

振り返ると秋田駒ケ岳が

もくもくと笊森に向かって歩く

再び振り返ると秋田駒ケ岳が遠くなった

乳頭山がちらりと見えた
「笊森山」からは「烏帽子岳(乳頭山)」の全容が眼前に現れる
遠くから見たら通称の「乳頭山」の名前に相応しい容姿だけれども
近くで見ると「烏帽子」の名前が相応しい山頂付近の姿である。
このあたりも含めて紅葉の様子は広葉樹や草原と笹薮の混在する
コントラストが印象的である。
「笊森山」からは一度急な斜面を下って再び「乳頭山」へ登り直しが
待っているので疲労感は一層増してくる。
予定では「乳頭山」から少し下った「田代平」の避難小屋で昼食にする
つもりだったけれども「乳頭温泉郷」から「秋田駒」まで戻る路線バス
の時間を考えて早めに山頂で昼食をとることにする。
「乳頭山」には縦走ではなくピストンの登山客が大勢集っていて
晴れた日の陸奥の山を愛でている風景が見受けられる。

乳頭山が眼下に

乳頭山への最後の登り返し
バス時間を見計らって早々に山頂を後にして予定どおり「田代平」経由で
「孫六コース」を孫六温泉にむかうことにした。
もう一つの下山路は「一本松コース」で黒湯に出るコースであるが
いずれも同じバス停に出るわけで行程が30分ほど違うだけだ。
若い時に「乳頭温泉」に宿泊した折に「乳頭山」に登った時は
「一本松コース」を利用して帰りに「黒湯」の露天風呂で汗を流した
記憶が残っている。

田代平小屋を臨む

シンプルな避難小屋

いかにも旨そうな(?)ツキヨタケ
先週もそうであったが下山路は長く感じる。
ブナ林が続く鬱蒼とした森林浴タップリの登山道で
強い日差しを遮断してくれるのは涼しくて良いのだが
足元の登山道はやや泥濘が多くて歩きつらい。
たっぷりと1時間歩いた頃に懐かしい「孫六温泉」横に出た。
土日しか運航しない路線バスで駐車場まで戻り
予定していた温泉での入浴は岩手山までがまんすることにして
一般道を盛岡方面に向かって走り、夕暮れが迫った頃に
「岩手山・焼け走り登山口」にある「焼け走りの湯」に着いて
汗を流し駐車場で宴会をして横に張ったテントで爆睡。